あいちトリエンナーレ2010 長者町会場
今日では空きビルが目立つ名古屋有数の繊維問屋街。この街の空きビルの中、店舗の入口、駐車場の壁、ショーウィンドウなどに現代アートが展示されている。
観光で名古屋を訪れたならば多分足を踏み入れないだろうこの街を、地図をもってあちらこちらと探索し、生活感のあふれるビルの上階まで階段を上り、旧式なエレベーターを待つ。地元の喫茶店で一服すれば「トリエンナーレ?」と声をかけてくれて話が弾み、ビルの屋上からは地元の人でなければ見られない景色にめぐり合える。
新潟妻有もそうだったけど、アートに惹かれて見知らぬ土地に奥深く入り込む。これが都市型アートイベントの付加価値だと思う。
ナウィン・ラワンチャイクンの作品は地元の人々を対象に手際よく映画ポスター風にまとめていた。
メルヴェ・ヴェルクマンの写真をコインパーキングの壁面に見つけたときは、何ごとにも無関心そうな被写体の女性がとても魅力的に見えた。
浅井裕介のために公開した喫茶クラウンは時代のある店内で雰囲気よかった。
ケリス・ウィン・エバンスを求めて夕方に出かけた。作品がビルの屋上に設置してあるとのことだが歩道からは見えなかった。仕方ないので向かいのビルのガラスに映ったものを見た。それでいいのか?
夜遅くに浅井裕介の映像がビルの壁に写っているのを偶然見つけた時はうれしかった。
とにかく、いろんな場所にいろんな種類の作品があり、探検と発見をじゅうぶんに楽しめた。街角にかなりの確率でピンクのシャツを着た案内スタッフがいて、話しかけるといろいろと教えてくれた。
その夜、長者町のワインバーで食事をしたとき店の人に聞いたのだけれど、ピンクのシャツの方はボランティアではなくてバイトとのこと。どうやら黒のシャツがボランティアらしい。その点ではボランティアはあまり目立たなかったな。
横トリと比較してうらやましいのがボランティアと作家と観客の交流の場である「ATカフェ」。本当に作品のある場所の中心にある。ZAIMが本会場から遠くて、ボランティアが誰も知らなかったのとはずいぶん違う。ここではもちろん「トリエンナーレ学校」もやってるし、フリーペーパーも出しています。