ひと│HITO HITO-Forms and Images of Man from the Museum Collection:神奈川県立近代美術館<鎌倉館>
ひと|HITO 収蔵作品にみる人間のかたち@神奈川県立近代美術館 鎌倉
2月の鎌倉はそろそろ年末モードで県美の池も冬色でした。
収蔵品展というと地味な感じではあるが、じつはいい勉強になるので好んで行くことにしています。
入ると中原悌二郎の「若きカフカス人」がいきなりあって、最近どこかで、と思ったら東京近美のパンフレットで読んだばかり。こうして本物を鑑賞できる幸せ。
あらためてひとつひとつ順番に見ていくとキラ星のような珠玉の作品が次々とありました。
関根正二「村岡みんの肖像」の深みのある表情描写は心が引締しまるようでした。また、椿貞雄「村山政司の像」では人物のたたずまいもさることながら手乗りのリンゴの素朴さに打たれます。萬鉄五郎の「日傘の娼婦」の不機嫌さとキュービズム「裸婦」の愛らしさの落差にめまいがしそう。藤田嗣治の「二人裸婦」ではちょっとお姉さん方の投げやりな青い瞳が蠱惑的。
人物画で気に入ったのが内田巌「トランプ」。
三人の女の子の退屈さと不機嫌さに囲まれている男の子が哀れ。壁にぶら下がっている人形がさらに不穏な空気を漂わせる。
それから松本竣介の「立てる像」が少年の不安と自尊心を描いて爽快。荒廃の予感を漂わせる街並みにちょっとした不安と傲岸な自信の表情を漂わせて少年がすっくと立っている。
「死と向き合う」ゾーンのメナシュ・カディシュマン「犠牲を運ぶ母」の決してカソリック的ではない今日的なピエタ像にむしろ親密感を持った。
最後の部屋では高松次郎の「世界の壁」に再会できたのがうれしいおまけ。