街のなかの太郎@岡本太郎記念館
青山の骨董通りからちょっと入ったところにある岡本太郎の自邸・アトリエが記念館になっています。中も外もあの自由奔放なオブジェがあふれかえっていて、このオシャレで上品な街に異様な空気を発散してた。
壮年期以降の岡本は、コレクションされたり美術館に収められるアートのあり方に疑問をもち、より一般大衆に開かれたアートを模索し、次々と実行していきました。ビルや公園のパブリックアートはもちろん、ウイスキーグラス、TVCM、、映画の宇宙人デザインから飛行船までも。そのうち最大のものが、あの太陽の塔であったことは言うまでもありません。最近では渋谷駅に明日の神話が設置されたけど、これは本人の遺志をくんでということらしい。
2階ホールでは岡本のパブリックアートの(多分)全作品がスライド上映されており、思わず見入ってしまった。確かに設置された数の上でも、そのサイズでも、オブジェ、壁画、釣鐘など種類の豊富さでも、日本で最大のパブリックアート作家は彼かもしれないと納得。
膨大な予算と人材をつぎこんで全国各地に次々と、あの誰が見ても岡本だろうと分かる形態と色彩の作品を作り続けた彼は、高度成長期と国土開発の大きな波に乗った、まさに昭和を駆け抜けたアーティストだったのだとあらためて認識しました。
大きすぎる人間について語るときの常だけど、著者の知識や理解の範囲でのみ語られることが多く、包括的で全体像を語ったものが意外と少ない。岡本もそんな存在で、どの本を読んだら彼の全体がわかるのか未だに適当なものが見つからない。盲人とゾウの例えのごとく微細な部分を積み重ねていって自分なりの全体像を構築するしかないのか。