アサヒビール大山崎山荘美術館
大阪から在来線で30分くらいでこんな別世界に行けるとは。関西地方あなどりがたし。
山崎駅はへんてつもない住宅地の小さな駅なのに、線路を渡ってちょっと山に登るとまさに現実離れしたリッチでノーブルな別世界に迷い込む。紅葉の美しい散策路の突き当たりにある大富豪の豪奢な生活をしのばせる洋館がアサヒビール大山崎山荘美術館。
窓枠、ドアノブ、池、階段の手すりなど何から何まで手の込んだものばかり。そんな空間で伊藤存の刺繍アートとはなんてセンスのいいこと。
この美術館の目玉はモネのコレクション。これを収蔵してあるのは安藤忠雄らしいコンクリート造りの新館なんだけど、その名も「地中の宝石」。
睡蓮の浮かぶ流れに沿って地中深く降りていくと円形の部屋があり、周囲の壁にモネの睡蓮の一連のコレクションがある。地上の水と木々と花と涼しい風を想像しながら静寂の地下室で印象派と対峙するという趣向。こんなに近くで、しかもこんなに沢山あの筆捌きを見られるとは。至福の時間。
今回は企画展として部屋の中央にじゅうたん敷きの部屋をしつらえて須田悦弘の木彫の睡蓮を展示してあった。これまた結構な趣向で、みんなじゅうたんに正座して拝見していました。
関西の金持ちってセンスがいい。贅沢にしても道楽とさげすまれる一歩手前に踏みとどまっている。古都のセンスあなどりがたしということか。勉強になりました。