アナザー・ランドスケープ@第3回恵比寿映像祭
国内外の映像作家5人による詰め合わせのような120分間。
西川智也は駅の風景を画面分割によってずらし、新鮮な映像空間を作った。高度な映像技術と安っぽい録音がミスマッチでかえって心地良い。
田村友一郎はGoogleストリートビューから取得した映像だけを素材に制作。これに各種の音素材を組み合わせて新たなドラマを作り上げた。
本当にインターネットがあれば、見たことのない世界に行けるんだと感動した。千葉のどこかの裏通りにも、ネブラスカ州の山奥のどこかの住宅へも。
Groupe A.I.R Miyashitaは、宮下(ナイキ)公園騒動のその後の心象風景を描いた。穴掘り女子の行為も、集う若者たちの語りも、自分で昔つくっていた頃の自主制作映画を思い出して、ちょっと恥ずかしくなった。
H5の「ロゴラマ」は、企業ロゴを素材に使って現代社会を皮肉ったCGアニメ作品。ドナルドって誰もが凶悪なキャラクターにしたくなるんですね。ここに全編があった。
ジェームズ・ベニングは観客を限界にまで追いつめるような60分にわたる作品。
画面には往年のメジャーリーガー、ハンク・アーロンについてのスライドショー、音声には当時の名曲や名演説、キャプションにはアラバマ州知事ジョージ・C・ウォレスの暗殺を試みたアーサー・ブレーマーの日記。
アメリカ人にとっては何かが伝わるのだろうか。多くの日本人にとって関心の薄い素材だし、時代背景を共有していないので一向に関心が持てなかった。
日本でこれをやったら、長嶋茂雄とフォークソングと瀬戸内シージャックの川藤展久か。それでも時代が伝わるとは思えないが。