カスヤの森現代美術館
三浦半島先端の衣笠とちょっとした小旅行。
のどかな駅で降りて15分ほど歩くと、住宅地とは思えない静かな竹林に囲まれた素敵な建物がカスヤの森現代美術館です。
個人美術館か大きめのギャラリーといったサイズなのですが、ここでは現代アートの有名作品が身近でゆっくりと鑑賞できます。
当日は企画展がふたつやっていて、ひとつは野村和弘さん。小さな白いキャンバスにかすかなドットで描かれた記号を読み取るといった作品でした。
もうひとつは世田谷美術館館長と岡山県立美術館館長による二人展。オーナーの人脈の広さがうかがえます。ですが、私はこれにはあまり興味がなくほぼスルー。
私の目当てはヨーゼフ・ヴォイス、李禹煥(リー・ウーファン)、ナム・ジュン・パイク、宮脇愛子の常設展示です。
ヴォイスの部屋には彼のオブジェやドローイングがたくさん。フルクサスの時代のざわめきが聞こえてくるようです。
李禹煥の作品は別棟の壁に直書き。なんでもない普通の部屋なのに、時間の流れに楔を打ち込んだような空間。
その隣には破壊されたピアノが。これは1986年の国際平和祭というイベントの山下洋輔とナム・ジュン・パイクのコラボレーションの名残りらしい。
さて、そうして常設作品で満足していると、本館の壁にさりげなくO JUNの「ゴジラ、宮島にあらわる」を発見。さらにその隣にはあの松澤宥の「80年問題」が。
素敵な女性オーナーにあらためて話を聞くと、ここには松澤さんに何度も来てもらったとのこと。そして貴重な資料を見せていただいた。
ひとつは山口県美の個展、「量子芸術宣言」の図録(岡崎球子画廊)。もうひとつは彼と彼の賛同者たちのマニュフェスト「九つの柱(Nine Pillers)」。
思わぬ成果もありで、とても満足のいく訪問でした。