ヴィルヘルム・ハンマースホイ 静かなる詩情@国立西洋美術館
今日は神様の贈り物のように気持ちのいい秋の一日でしたね。
休日だったので朝いちで四谷で用事を済ませてから自転車で上野へ。国立西洋美術館のヴィルヘルム・ハンマースホイ展行ってきました。
19世紀末から20世紀初頭に活躍したデンマークの画家。風景画も肖像画もあるんだけど、特に印象的で忘れられないのが彼が家族と住んだコペンハーゲンのアパートの室内を描いた作品の数々。
色彩はきわめて抑制的でほとんどモノトーン。モチーフは実際にあった細々としたモノたちが排除され、ドアの取っ手や陶器の模様さえなく描かれている。登場する女性たち(妻や妹)はうしろ姿か横向き。たとえ顔が見えても表情がとぼしく、視線を合わせることもない。
開いた扉とその次の間の薄闇にたたずむうしろ姿の女性、さらにその次の間から差し込む北欧の日光。
そんな陰々鬱々とした室内の画ではあってもその潔いシンプルな画造りから、物と光と空間の存在感がそれぞれの意味を持って圧倒的に浮かび上がってくる。
室内の扉、建物の角などまっすぐなものはきわめてまっすぐに、ソファの曲線など優美な曲線はあくまでも優美に感じられるのは、物のあり方やその形態への理解と表現にそれだけ真剣なのではないかと感じました。
久しぶりに満足を通り越して疲れるくらい画を鑑賞させていただきました。現代アートの軽いユーモアとは違う本格アートの満足感でおなかいっぱいになりました。
それにしても火曜日の午前中だっていうのにお客さん多かった。横浜トリエンナーレの3倍はいた。やっぱり何だかんだいっても世の中は現代アートよりも近代なんだねー。チケットも一般1500円だっていうのに。
ランチは国立西洋のレストランでまたワイン。この建物ってコルビジェだったんだって。知らなかった。常設でミレーとかモネ、ゴッホ、ゴーギャンなども観て大満足。