三瀬夏之介 | ARTIST | イムラアートギャラリー[京都/東京]
三瀬夏之介展「ぼくの神さま」@イムラアートギャラリー東京
近所のギャラリーに何気なく立ち寄ったところ驚愕の体験。やっぱり出会いは偶然からですね。
三瀬夏之介はジャンルで言えばネオ日本画で、屏風状の巨大パネルに描かれた空、雲、島、森といった大自然をモチーフに秘密基地風の建造物や現在風俗をイメージさせるシンボルなどが見え隠れする。スケールがでかくきめ細かい。
入ってすぐ目につくのが壁2面いっぱいに6枚はある大作だが、聞けばこれはその一部で本当は20枚くらいある。作家はこの作品をライフワークとしており、これからも増えていくとのこと。
日本画らしく岩絵の具や金箔といった材料を使ってはいるが、表面がコーティング状に光っている部分もあり、新素材への取り組みが新鮮でもある。
展示会タイトルが「ぼくの神さま」と未成熟な印象だが、作家の文章によると前世紀後半の新興宗教の暴力行為にショックを受けたとのことで、これは作家の大事なテーマらしい。
ギャラリーの片隅には作家の作業台を模した展示があり、時代のついた神棚や制作道具が置かれている。その愛すべきアイテムに囲まれて、こうした壮大な作品に取り組んでいる姿を空想して微笑ましくもあり、心で応援したくなる。
ネオ日本画が天明屋尚の頃はややもすると挑発的に感じられたのに対し、精神の不安といったものを動機に描かれるようになったことに成熟を感じた。
若手日本画の作品は瑞聖寺ZAPギャラリーのガロンでも見たが、これも自由な心ときめ細かな手作業で感動的だった。日本画の進化にあらためて注目していきたいと思った。