国立歴史民俗博物館
国立の施設が歴史を取り扱うときには国としてのプライド、科学的検証、対外的配慮など細心の配慮が必要。それを一手に扱うのが千葉県佐倉市にある国立歴史民俗博物館。国立博物館としての物量と質の高さに圧倒されます。
縄文時代から始まり、平安時代、戦国時代・江戸時代、明治・大正時代、そして昭和初期から現代。さらに農山村から都市部に息づく民俗・風習をもカバーしている。それぞれにおいて政治、文化、生活など必要な分野を取り上げているのはもちろんだが、プラスアルファとして特筆すべき要件を挙げている。例えば古代ゾーンにおける「沖ノ島」。この小さな島からは大量の銅鏡など驚くべき古代遺跡が出土していることで知られているが、この島のためにひとつの部屋を用意し、そこに発掘洞窟を実物大で再現している。
現代ゾーンにいたっては現代の民俗文化を象徴するアイテムとして法善寺横丁を取り上げ、水掛不動をやはり実物大で再現している。
特に昭和初期から戦争に至る時期については国内外において微妙なテーマであることもあり、この博物館でも取り上げてこなかった。しかし、ようやく今年になって現代ゾーンを開設した。これは各方面へ配慮したバランスととれた展示となった。
とにかく巨大な空間に日本列島とその周辺についての数千年にわたる時間の流れを詰め込んだ展示である。じっくり見ていたら一日では終わらない。できれば何日か通って極めたいものだが、とにかく行きにくい。ただでも佐倉は遠いのにさらにバスに乗って20分ほど。それにバスは便が少ない。でも、行くだけの価値はある。