国立民族学博物館
京都のついでに以前から行きたかった大阪千里の国立民族学博物館へ行ってきました。
万博記念公園駅でモノレールを降りて、太陽の塔を見ながら広大な万博公園を横切ってけっこう歩きますが、辿りつくとそこには大満足が待っていました。
ここには世界の文化を表す、生活、音楽、娯楽、食べ物、宗教に関わるモノが集められています。オセアニアで言えば海洋民族の証であるカヌーの実物はもちろんですが、アフリカの町でよくみかけるドリンクスタンドの実物など現代風俗にも目配りがあります。また、韓国の酒幕という宿屋は実物が中庭に再現されています。
館内はアメリカ、ヨーロッパ、アジアなど地域別のゾーン構成になっているのですが、一回りするとめくるめく人類の文化が目の前に展開され、まさに3時間で世界一周体験。しかし、どのゾーンも興味深く、それぞれをじっくりみていると一日では足りない。
しかも、図録によるとここに展示されているものは収蔵品のうちわずか5%とのこと。しかも今日でも世界中に散らばった学芸員が収集を続けているのです。収蔵庫の様子を思い浮かべてナショナルミュージアムの実力に圧倒されました。
私が気に入ったのはタイの人形劇ワレン・ゴレックで使われる人形のお面のゾーン。いずれも不思議な表情のお面が黒い壁に大量に並んでおり、一度見たら忘れられなくなります。
こうして世界のゾーンを歩いていると自分の生理感覚に近い文化はどこかが分かってきます。私はイヌイットの削ぎ落とされた表現ながら現実とずれた自然信仰に生理的に好感を持ちました。しかし、一方メキシコのカトリシズムの過剰な宗教儀礼表現に嫌悪感に近いものを感じつつ強く魅せられました。
千葉の国立歴史民俗博物館と同じく、もっとアクセスのいい場所にあるといいのにと思います。東大総合研究博物館の取り組みでモバイルミュージアムというのがあるのだけど、みんぱくもそんなアウトリーチの取り組みをしたらどうだろうかなどと考えてしまいました。
ショップで買い求めた「世界を集める」という本によると、虫害対策のことが書いてありました。新潟県立美術館でも虫害事件がありましたが、特にこの博物館のように世界中から木製やら石造りの実物を持ってくる以上、これは欠かせないことでしょう。収蔵庫には巨大な燻蒸施設を備えているとのこと。博物館の管理・運営が垣間見えて興味深かったです。
関西で半日時間があったら必ずまた行きます。