寺田真由美-不在の部屋/若林砂絵子-平面の空間(PLATFORM2010)@練馬区立美術館
寺田真由美-不在の部屋/若林砂絵子-平面の空間(PLATFORM2010)@練馬区立美術館
寺田真由美は窓のある室内を撮影した写真作品。いずれの作品もどことなく違和感が・・・、と思ったら室内はミニチュアで、これを屋外に持ち出してその窓から外を写していたのだった。非現実であり、それが寒々とした気分をかもしだしている室内の景色と、このうえなく美しい窓外の景色。それは孤独な心と世界への憧れという心象風景のようだった。
若林砂絵子は巨大キャンバスに大胆な色彩で柔らかな形象を描いた抽象画。グリーンを地に、赤で生き物の心臓や果実の種子を思わせる柔らかな形象を描き、それらを黒く確かな線が横切る。長い冬の後の芽吹きの頃や、傷ついた生き物が息絶える瞬間に人が感じるもの、目に見えるこの世の背景で脈打っている生命の流れのような映像。
図録の文章を読んだらこの方若いのに昨年亡くなっていたとか。そうなると作品についてやこの方の人生について、また深く考えてしまう。最晩年の3作品にはまた立体的な展開があり、今後を期待したかった。残念。
それにしても練馬区ってそれほど大きくない自治体なのに、この美術館しっかりと企画展やって収蔵もすすめている。うらやましい限りです。地元の区に美術館がない私は羨望です。