小原典子個展「光の庭」@gallery COEXIST
このギャラリーは元倉庫らしく天井がとても高い。その広い空間を目張りして完全に暗くしてあり、その暗い天井からブラックライトの妖しい光が差し込んでいる。
見上げるとまるで暗い谷底から射し込む月光を見ているよう。また、その谷間から幾本もの線が下りている様子は、川端康成の蜘蛛の糸で罪人が見上げた糸のことを思い出した。
その線にいくつもの不思議なオブジェが付着してあって、それが光を放っている。
オブジェのあるものは攻撃的であり、あるものは謎かけをしているようであり、あるものはただ存在するだけで満足しているようだった。
作家の小原さんによると、それは子どもの時に顕微鏡で見た、水滴の中の微生物の有り様を思い出しながら作ったとのこと。私は宇宙創造の直後に拡散した星雲群のことを思い出した。
彼女は、この蓄光素材とブラックライトの組み合わせでいくつもの作品を作ってきている。2009年の大地の芸術祭でも学校プロジェクトのひとつで展示している。
2階のカフェ風の空間で、それらも含めてこれまでの作品をゆっくりと説明してくれた。OHPシートで人型がゆらめく作品や、観客参加で大きな河の流れを作った作品などもあるらしい。
すべての作品を美術館などの大きな場所でまとめて見てみたいと思った。