恵比寿映像祭「歌をさがして」@東京都写真美術館
現代アートの映像を集めた展示とイベントと上映の催し。展示は小ぶりで、目玉はどちらかというとシンポジウムなどのイベントとなかなか見られない上映作品か(展示無料だし)。
私は1960年代のシンガポールの映画黄金期をめぐるプレゼンテーションを見た。映画産業という視点で見ると、東南アジアは一括りにできない、シンガポール、マレーシア、インドネシア、フィリピンそれぞれの事情と相互影響。さらに中国、インド、日本、そしてハリウッドの映画の影響など複雑にからみあっていることが分かった。また、彼の話す失われゆく文化についてのアーカイブへの支援のなさ、関心のなさが身にしみた。
展示では山城知佳子に再会できた。「沈む声、赤い息」の鎮魂に思わず手を合わせたくなった。あと、「バーチャル継承」の恍惚の表情にも。
アルフレッド・ジャーの展示の作り込みは相変わらず高級感たっぷりで徹底している。彼が原爆詩人の栗原貞子に関心があるとは知らなかった。私も読んでみようと思った。
それにしても映像祭のウェブサイトかっこいい。街中の広告も。アートイベントでここまで徹底した広報は久しぶりにみた。制作費の半分くらいはつぎ込んでいるのではないか。
プレゼンで挨拶した女性が総合ディレクターらしいが、若いのに一本筋の通った展示会を成し遂げた。これから来場者の伸びを期待したい。