TOKYO FRONTLINE@3331 Arts Chiyoda
春はアートフェアの季節。ということでそのさきがけとなるTOKYO FRONTLINEに行ってきました。
場所は秋葉原の3331 Arts Chiyoda。第一回目の101TOKYO Contemporary Art Fair会場だったところ。
その時は、まだ、ただの小学校跡地だったが、そのブース構成はただのマスで区切っただけで通路というものがなかった。つまり別のブースに行くためにはどれかのブースを通過していかなければならない。
それが学園祭ノリのアートフェアによく合っていて楽しかったが、いまではすっかりきれいなアートスポットになっていました。
美術館と違ってアートフェアはビジネスの匂いが魅力的で、自分でも買う気になって見ないと楽しくない。
なので、私は①評価のまだ定まっていない作家、②平面作品、③自分で好きだと思える作品、を基準と決めて見ました。
このアートフェアの1階は、ブースではなく企画展風に展示されている。
桑久保徹や三瀬夏之介など大好きな作家の作品があったのですが、上記の基準に照らしてあまり浸ることなく探索へ。
そこで、惹きつけられたのが小西紀行。
ペーパーに油彩で主に子どものポートレートを描いた6枚もの。印象的なタッチが根源的な心象風景をあらわしている。ちょっと加藤泉を思い出す。
あと、梅津庸一のセルフポートレート。
立ちションしている人物画にあれっと思ったら、やっぱり村山槐多の「尿する裸僧」へのオマージュらしい。奥の壁に貼ってある小さなメモにそんなことが書いてあった。若いのに昭和初期の夭折の作家を取り上げるとは感心。
ということで、1階で気に入った2人はどれもアラタニウラノの作家だった。やっぱりここは趣味が合う。
2階は普通のアートフェアっぽくギャラリー単位のブース展示だった。
ユミコチバアソシエイツでは写美の企画展、「スナップショットの魅力」で気に入った鷹野隆大のカスババが沢山出ていました。
ここは山城知佳子や高松次郎の個展も見に行ったところ。なんとなく自分の趣味が収束しているのを感じた。
それから新たな発見がギャラリー・ハシモトの荻原賢樹。
黒い画面に白い塗りによる抽象画。筆使いのリズムと構成がすばらしく、単色の画面ながら多くの色彩と映像を喚起する。
オーナーによると、彼はIT企業にお勤めの社会人画家。でありながらも週末を利用して大きな作品をコンスタントにつくり続けているとのこと。GEISAIで目をつけてコンタクトしたとのことで、確かにギャラリストは見る目が命なんだと思った。素人目にも伸びそうだと思う。
あと、アヤ・アンド・サナギの井上光太郎。
昏い炎のような筆遣いで住宅や顔のないポートレートを描く。これをどこかで見たなと思ったら、眼科画廊だった。
いろいろと見ていくと心に残る作品があり、再会がある。これが縁か。縁なのか。
ミサシンギャラリーには照屋勇賢のトイレットペーパーとか紙袋作品があった。オーナーがいてちょっと話したが、やっぱりギャラリーのオーナーは美人でなければと確認した。
アートフェアには「自分で買うとしたら」という刺激や興奮があり、美術館にはない楽しみがある。