時の宙づり—生と死のあわいで@IZU PHOTO MUSEUM
時の宙づり—生と死のあわいで@IZU PHOTO MUSEUM
古いポートレート写真によって構成された展示会。
遠い旅に出ている人、亡くなってしまった人、大事な人。写真とはそもそも、その人がいるこの瞬間を固定し、その瞬間を手元に保管しておくための技術。その技術の成果がモノとしてのポートレート。
展示会には膨大な数の古今東西のポートレートが展示されており、多くの人々がどれだけこれを大事にし、慈しんだかが伝わってくる。19世紀からのものたちは豪華に額装され、ブローチにされ、彫刻などで立体化され、壺に焼き付けられている。
一方、スナップショットの展示では撮影者の影が写り込んでいる映像を膨大に集めている。写真はレンズの向こうにあるモノだけを写すのではなく、撮影者のことも写してしまうということを明示的に表現している。
それにしても写真技術の一般化によって世界中で膨大な瞬間が固定化されたものだ。デジカメの普及によってさらに多くの瞬間が固着化されているのだろう。
これら無限数にもなる画像を解析することによって、その瞬間の世界のありようが分かるのではないか。Twitterのつぶやき解析によって世論や流行が解析出来るのならこれも有り得なくはない。そんな空想してみるのも楽しい。