福田尚代展 言葉にまつわる連作の新たな展開 (ないこと)についての試み@gallery福花
福田尚代展 言葉にまつわる連作の新たな展開 (ないこと)についての試み@gallery福花
福田尚代さんは回文作家でもあり、言葉をモチーフに作品を作るアーティストでもある。新たな展開と題された今回の作品では言葉がない。しかし、言葉の名残り、言葉の残り香が濃く漂っていた。
文字が埋められているべきマス目をひとつずつ綿密に切り抜いている原稿用紙の作品群。二つ折りにして立てている作品は来場者の起こす空気の振動にかすかに震えていました。
また、切り抜いたマス目の四角を散りばめた作品は、近くでみると鼻息で飛んでいってしまいそうで息を止めて鑑賞しました。
その繊細さはそこに描かれてあって、もうない言葉がどんなものだったのかを暗示しているようです。
前回の国立新美での展示もよかったけど、こちらのこじんまりとしたギャラリーで足音を潜めながら鑑賞する方が福田さんらしくてよかった。北国で何日も雪に降り込められて、回文をつくっている彼女の様子が空想されます。
ところで、このギャラリーの下にある「さぼうる」という喫茶店がまた素晴らしい。昭和の匂いがプンプンとする山小屋風の内装。となりの話し声がつつぬけで狭いテーブルに狭い椅子。なのにこんなに落ち着くのはなぜなんでしょう。
神保町の駅から出てすぐなので何度でも行きたいです。