草月アートセンター — 印刷物という『半影』(アート・センター協力 展覧会) | 慶應義塾大学アート・センター ブログ
印刷物という『半影』@慶應義塾大学三田キャンパス
アートアーカイブ?チラシとかポスターがガラスケースに入っているだけの展示じゃないの?と思って見に行ったら、その奥深さに打たれました。深い、底知れない深みがあります、アートアーカイブ。
展示は草月アートセンターの数十年に及ぶ活動をチラシとポスターによって俯瞰しようというもの。
セッションではキュレーターの二人とポスターのデザイナーが熱く語っていました。
「チラシとはイベントが始まる前の期待を表すものであって、イベントそのものがどんなものなのか、それが実際に実施されたのかどうかは表現されていない」
「時系列に並んだチラシを観ることは、遠い過去を振り返りつつ、個々のイベントに対する近い未来に向けて振り返りなおす行為だ」
漫然と見ているとただチラシが並んでいるだけのようだが、その気になって展示の意味を読み込むことができれば多くの物事が見えてくる。それがアーカイブの展示か、と思い知りました。
圧巻だったのがleftとrightと称する今回の展示のためのポスター。それ自体が立派なアーカイブ資料になっている。チラシをイベントごとに時系列に並べているのだが、そこにはぽっかりとした空白もあり、それがあるべきもの、あったはずのものが不在であることを俯瞰させてくれる。
草月アートセンターと言えば、キュレーターもセッションへの参加者もおそらく生まれる前のこと。でも対象に対するリスペクトがある。アートアーカイブという手法に対する思い入れもある。そんな人がこんなに沢山いるということが分かって、いい体験でした。
もっと大きなハコでやってもよかったような気がする。