長澤英俊展 オーロラの向かう所@国立国際美術館 2009年度 | 2000年代 | 過去の展覧会 | 展覧会 | NMAO:国立国際美術館
長澤英俊展 オーロラの向かう所@国立国際美術館
先日川越と埼玉でやっていたので気になっていたのですが本物を見るのは初めてでした。お腹いっぱいの大満足です。
入ったところにある、巨大な木材を組み合わせてバランスの存在を通じて重力を実感させてくれる「縦の目」。その隣りに繊細な鉄細工と薄絹の組み合わせの「バグダッドの葡萄の木」。「ミューズの部屋」では四隅に配置された金属の板に見下ろされてなまめかしい空間を楽しませてくれる。木材の構造体と吊り下げられた金属板による「空の井戸」は金属なのに軽やかな空間。いずれも素材の存在感と構造の妙による軽やかさの両方が楽しめた。ずっとこの部屋にいたくなります。
今回の目玉は「オーロラの向かう所」。本当に真っ暗でしたが、しばらくたたずんでいると闇の中に柱の林がうっすらと浮かんでくる。そうなると一歩踏み出したくなり、それから自由に暗闇の柱の森をさまよいたくなる。感覚に鋭敏になっている時に触れる大理石の感触の神々しいこと。
上階には見たかった「舟」があった。今回の木は柳だそうです。看視の人に話を聞いたら、毎日水をやっていたら芽が出て葉っぱが出てきたそうです。学芸員の方が水のやり具合を気にしたり、土を固めたりと木のお世話に相当気をつかっているそうです。
その隣りの「緑の影」は、なぜか上の方の水盤だけ水が減るそうです。そこで毎日埃を取って水を補給しているそうなのですが、この水がただの水道水じゃないそうで、何か特殊な水らしいのです。「まるで神棚に水をあげるようですね」と言ったら「そういえばそういう意味があるのかも」と感じ入っていました。
イタリアでは屋外展示が基本らしく、それも見てみたい。この人の作品なら凡百のパブリックアートのようにならず、忘れられた聖地のように誰かが人知れずお世話したりするのではないか。そんな気がする。