アイ・ウェイウェイ「Cube Light」@MISA SHIN GALLERY
先日、横浜で行われたシンポジウムで話を聞いた辛美沙のギャラリーを見に白金まで。
都心のレトロ感あふれる街並みに、これまた忘れられたような町工場の大きな扉があり、この重い扉を開くとそこにアイ・ウェイウェイの絢爛たるシャンデリアがあった。
琥珀色のカットグラスを膨大に使い、頑丈なスチールパイプで立体にしてある。
こうした手間と金のかかるプロジェクトを手がける人は世の中に多いが、これだけ満足感の高い結果を出す人はアイ・ウェイウェイだけではなかろうか。
シンポジウムで辛が語ったことを思い出した。
2008年の四川大地震で、手抜き工事が疑われる学校が倒壊し多くの子供たちが犠牲になった。当局はその犠牲になった子どもたちのカウントを適当なところで切り上げようとしたが、その親達が激しく抗議すると彼らを拘束し始めた。
アイはこれに反対する運動を積極的に展開した。ボランティアを組織して自主的にカウントを行い、この結果を発表したとのこと。
そんな話を聞くと、彼の社会への態度は単なる反体制とかイデオロギーではなく、市井の人々への共感から発しているようである。
ところで、昨年末に彼が自宅軟禁された顛末がここにある。これはノーベル平和賞受賞の劉暁波支持に関連しているらしい。
彼は、最先端で活躍中の作家でありながら、作品のみで語られるべきでないという稀有の存在である。