「Jiro Takamatsu Early Works」&レクチャー「高松次郎の表象批判 それを1968年問題と呼ぶとしたら」 by 光田由里
「Jiro Takamatsu Early Works」&レクチャー「高松次郎の表象批判 それを1968年問題と呼ぶとしたら」 by 光田由里@Yumiko Chiba Associates viewing room shinjuku
新宿中央公園の緑が見える西新宿のギャラリーで高松次郎の個展とレクチャー。作品は「単体シリーズ」と「弛み」の3点と少なめだが、いずれも重要な作品であることがレクチャーによって分かった。
レクチャーは松涛美術館の学芸員でもある美術評論家の光田由里さん。
高松の作家活動のスタートから説き起こし、点から線、そして紐に、やがてグリッドになり、単体や弛み、そして影となる彼の理論展開をじっくりと説いてくれた。「彼の作品は絵画批判です」という言葉が十分納得できた。
そのレクチャーは高松作品への深い読み込みという背景と、作家への愛情、そしてその活躍した時代への愛情が溢れていた。
レクチャーの途中でたまたま訪れた田中信太郎さんが、東京画廊で1968年にやった「点・線・面」について自ら語るという場面もあり、得した気分になった。
評論家、特に美術評論家の講演はテーマの対象に対する愛情がどのくらいあるかが大事なのだとあらためて思った。情報量と解釈する能力の有無は言うまでもないが。