「あざみ野コンテンポラリーvol.2 Viewpoints」展閉幕
あざみ野コンテンポラリーvol.2 Viewpoints いま「描く」ということ@横浜市民ギャラリーあざみ野
以前から興味のあった若手作家が揃って登場、ということで出かけていった。横浜にはよく行くのだがあざみ野の横浜市民ギャラリーは初めて。こんなに立派な施設だったとは知らなかった。
あいちトリエンナーレなどでも見た淺井裕介は本当に年中描いているんだろうなと思わせる物量。しかし、展示会パンフレットのテキストを切り抜いて造形するなど手法の追求にもこだわりがある。あと、(多分)インドに行って人々の手に模様を描いたビデオが素晴らしい。描くことの歓びを十分感じることのできる作品群だった。
これまた丹念に描き続けることでは引けをとらない椛田ちひろも、ボールペンで夢のような空間を作り上げた。巨大なインクジェット用紙のロールに光沢を放つ単色の塗り。しかし、近くによってよく見ると線の方向が浮かび上がってきて迷いや安堵のマチエールが見える。膨大な作業を空想して圧倒される。
吉田夏奈は東京オペラシティアートギャラリーで壮大な山岳描写を見たが、今回は対象を島に変えて立体造形という趣向だった。作家インタビューのビデオによると小豆島に滞在しての制作だったらしい。島では多くの出会いがあったらしいが、作品にもそろそろ人間の存在がほしい。
大きめのキャンバスに均等にモチーフを配置する桑久保徹は今回も一貫している。作風は違うが相笠昌義の飄々とした画面構成を思い出す。しかし、桑久保の方が精神的緊張をはらんでいる。一昨年のアーティストファイル(国立新美)では祝祭感があったのだが今回の新作にはこころがざわめいた。
会場には桑久保のアトリエを模した空間があった。大量の絵の具チューブがあって、どんだけつかうんだこの人はと驚いたり、画面を見てやっぱりねと納得したりだった。