アーティスト・ファイル2011-現代の作家たち@国立新美術館
アーティスト・ファイル2011-現代の作家たち@国立新美術館
今年の中堅どころを概観するために毎年行っている国立新美の企画展。終了間際で出遅れたがやっぱり行ってよかった。
クリスティン・ベイカーはアクリル坂にカラーフィルムを貼るという手法でスピード感とシャープさあふれる映像。鈴鹿サーキットでのカーレースの一瞬を描いた作品がかっこいい。
「ベルセウスの筏」と題する作品があり、これはもしかして美術の教科書によく出てくる「メデューズ号の筏」のリメイクかと思った。手法は全然違うが構図がよく似ている。
また、「モンタギュー家とキャピレット家」という作品はもしかして「ロメオとジュリエット」のあの曲にインスパイアされたのか。若い作家なのだが、意外とインスピレーションがクラッシックで面白い。
雨引の里と彫刻2011でも見た中井川由季があった。
手びねりで成形して分割して焼き上げ、後で組み上げるという手法のためか、人間の歯か昆虫の腹部を思わせる形態が多い。それは一体の物体が分裂し、拡張していく予感をただよわせている。
冬の休耕畑で見るとしっくりとしてそれも良かったが、ホワイトキューブで見ると形態の意味や素材による存在感を楽しめてこれもまた良い。同じ作家をいろんなところで何度も見ることの幸せ。
鬼頭健吾作品も愉快でよかったが、それより壁面をミラーパネルで埋め尽くした展示空間づくりに感心した。
今回の作家で最も良かったのが松江泰治。
大阪やバルセロナなど都市を俯瞰した写真作品は目がさめるような新しいシティランドスケープ。多くの写真家が都市を対象に撮影しているが、まだこんな撮り方があったのかと驚いた。
また、超望遠(らしき)カメラで撮影した人物写真。これも新しい都市住民のポートレート手法。これって被写体の同意はどうなってるんだろうと思ったが。
ほぼ静止した映像を延々と流し続ける風景ビデオも新鮮な映像体験だった。