シュルレアリスム展@国立新美術館
ダダの部屋からシュールの部屋へ。その第一歩がアンドレ・ブルトンの宣言だった。
あらためてこれを読むと、現実に対する夢や無意識の優位性を謳っており、その必然として現実/現状への否定がある。当時の若者を熱狂させたものは、この時代への反逆精神だったのだろう。
展示会場はダダ>宣言>第二次世界大戦>米国への亡命>アンフォルメルへの展開というエリア構成。
そして、シュールと言えば思い浮かぶミロやエルンスト、ダリ、マグリットがほとんどない。その代わりにアンドレ・マッソンの多様な展開が次々に出てきて、彼が運動の美術サイドではキーだったことが分かる。
なので、どちらかと言うと目玉作品をじっくりと見せるよりは、シュールという運動の概観を表現するための展示会なのだと思う。
さて、展示会はそうした意図らしいのだが、各エリアの最初に設置されているブルトンら運動のキーパーソンたちの文章が分かりにくい。
そもそもシュールの詩人たちの文章は難解だし、文脈から切り離された文章ではさらに本来の意味が伝わらない。これなら学芸員が運動について分かりやすく解説文を書いたほうがよかったのではないか。
作品点数も膨大だし、貴重なアーカイブもありで素晴らしい展示会だと思うのだが、私にはこの時代にもこの美術運動についても知識や興味が足りないことを痛感したひとときだった。