博物図譜とデジタルアーカイブ@武蔵野美術大学・図書館
昨年のアートアーカイブ学会のシンポジウムで、武蔵美の図書館がリニューアルされたことを聞いて以来気になっていた。季節も良く、ちょっと遠出したくなったので国分寺まで出かけてみた。
武蔵美のキャンパス自体は疲弊感ただよう近代建築群だが、図書館だけはびっくりするくらいコンテンポラリー。
外観からして木製の本棚をガラスで包んだ構造体。中に入ると同じくすべての壁が本棚となっている。本棚にはまだまだ空きスペースがあって、これからいくらでも本が増やせるといった趣き。
Macintoshや座り心地の良さそうなチェアが点在している吹き抜けスペースのキャットウォークは開放感と心地良い孤立感が魅力的。
館内にはあちこちに大きなテーブルがあったり、個室のディスカッション室がある。また、階段状のアリーナ形式になったスペースもあり、ここでちょっとしたレクチャーやシンポジウムもできそうだ。
こうした付帯設備のあり方からすると、この図書館はただ調べ物をするだけではなく、学生同士が語らい、議論することを期待しているのかもしれない。
知の集積場所である図書館は意外と静かに過ごす場所ではなく、知識に誘発されて議論する場所なのかもしれない。そんなことを考えた。
図書館についてのブックレットによると、自動貸出機はもちろん、ICタグを使った書籍情報端末「ブックタッチ」などのデジタル化も充実している。また、腰掛けにもなるインテリジェントカートも面白い。
こんなに楽しい図書館があったのかと感動した。今日の図書館の最先端を体験したければここは必須だと思う。あとは、こうしたスペースや設備を生かしたイベントがどのくらいあるのかを注目したい。
隣接する美術館は6月にリニューアルオープンとのことなので、あらためて訪問する。
さて、図書館に付属の展示室では「博物図譜とデジタルアーカイブ」展をやっていた。
これは19世紀の博物誌書籍を高解像度でスキャンし、それをタッチパネルのインターフェースで表示する端末を紹介するもの。
iPadやAndroidなどタブレットPCのインターフェースに慣れた私からすると動きがぎこちない。また、データ登録方法の発展性や検索性、ソーシャルへの展開に欠けていて特に感銘はなかった。
それよりも、この端末を今後どう展開していくのかについて、明確な答えがないことが気になった。