収蔵品展039 寺田コレクションの若手作家たち|東京オペラシティ アートギャラリー
収蔵品展「寺田コレクションの若手作家たち」@東京オペラシティ アートギャラリー
常設入れ替えで小西真奈が出ていると聞き、ふらっとでかけてみた。小西の作品は葉山のプライマリー・フィールドで見たものがほとんどだった。
「浄土2」と同じ素材をもとに描かれた「夜」は、サイズこそ小さいが星空の下で水に浸かる女なのでより不思議感が高い。
「Dark Lake」は何度見ても自分の記憶を限りなくつつかれる。高原の湖というかほとんど池か水たまり、の砂はなんで黒かったんだろう。どうして男だけであんな所に行ったんだったか、あの写真撮ったの誰だったかな。などと自分の記憶として思い出そうとしている自分がいる。
空いている美術館の展示室でこれらの作品の前にソファがあれば小一時間はいられる。
それから、林千惠(リム・ジヒェ)という韓国の作家の2点が忘れられなくなった。
メゾチントだから版画なのだろう。蓮の浮かぶプールに牛が体の半ばを沈めている風景で、不要な部分が抜かれて地が見えている。そのきっぱりとした諦めのよさで、蓮の葉の立体感も下半分がない牛の存在感も浮かび上がっている。
こうした映像感覚は同じアジア文化として近しいように感じられるが、同時に余白の扱いに彼我の差も感じる。この作家の作をもっとたくさん見てみたくなった。
その他では伊庭靖子のシルクスクリーンが数点あった。いつもの日用品のクローズアップに通じるモチーフだった。
東京メトロポリタンアートギャラリーは常設だけなら200円。ふらっとした時間つぶしに最適だ。これからもちょくちょく寄りたい。