坂口恭平「新政府展」@ワタリウム美術館
以前、建築科の学生と話をしていて、今ある建物を撤去して新しいものを建てることばかり言ってるのに違和感を覚えた。そんなとき、坂口の「TOKYO 0円ハウス 0円生活」を読んで、建物を建てない建築家というのに好感した。
もはや建築家ではなく現代アート作家として有名になった坂口の作品を一同にみる展示会。ドローイングが達者であった。
しかし、作品らしきものはベニヤ作りの小屋があったくらい。新政府というコンセプトが魅力的だけに、それを伝える方法をもっと確立してほしい。
「生きていくのになぜお金が必要なのか」「なぜ土地にお金を払い続けるのか」という社会に対する異議申立てと、その意義を抱いたまま社会にたいしてつながっていくストーリーは明確であり、それゆえに意思の強度がある。ただし、ひと昔前の文化人ならそのストーリーに社会主義イデオロギーを持ち込むところだ。坂口のそれへの態度も見てみたい。そして、アートで表現することの意味も。