宮永愛子展「景色のはじまり-金木犀-」@ミヅマアートギャラリー
宮永愛子展「景色のはじまり-金木犀-」@ミヅマアートギャラリー
宮永はナフタリン素材による「無くなっていく」作品で有名。彼女の作品はあいちトリエンナーレでもみた。
正面には巨大なレースの織物のようなインスタレーションがある。これはカセイソーダで柔らかくし、スポンジでこすって葉脈だけにした金木犀の葉を使って作られている。それを数万枚も使っているらしい。
軽やかであり繊細でもあり。思わず触ってみたくなるような心地良い素材感覚だった。
奥の和室には陶器の作品群が。耳をすませていると、時々「ピン、ピン」と音がする。これは気温の変化に伴って陶器に生じる音らしい。
普通の陶器では、この音は焼きあがって数日でなくなるらしい。それを特別な加工で長期間に渡って継続するようにしたとのこと。
しかし、いずれ音はしなくなるし、いつでも音がするわけではない。ギャラリーの方に聞いたところ、音が聞こえない日もあるとのこと。ちょっとラッキーな感じでうれしくなった。
和室の床の間にはナフタリンの時計が美しく崩壊しつつあった。
いつかは消えてなくなるモノ・コトというコンセプトの作品群だが、こうしたものを尊ぶ美意識は小さくはなかいものを好むように思う。制作費が潤沢になってリアルに大規模なものを作るとその部分が失われるのではと心配になる。
あいちトリエンナーレの塩田千春の作品でも同じ危惧を持ったことを思い出した。