寺島みどり展「楽園の何処か」@ニュートロン東京
雨の平日だったので訪問者は私一人。作品も空間もゆっくりと楽しめた。
ニュートロン東京は青山墓地近くのデザイナー住宅ギャラリー。3階建て吹き抜け空間が気持ちいい。
なんでも住宅として使っていた時のままギャラリーにしたらしい。そのままホワイトキューブだが、ここで実際に暮らす気分はいかなるものかと思った。
1階では稲富淳輔という陶芸作家のインスタレーションと平面作品、2階は同じ方の陶器が展示されていた。3階が寺島の個展スペース。
鬱蒼とした裏庭の景色を原色を多用して描いた平面作品群。
この裏庭は職人が手を入れた端正なものではない。また、自然のルールが適用された野生の深山でもない。
かつて丹精されたであろう庭がその持ち主をなくし、長年放置された後の混沌のようだ。あるいは通常の自然の植物相が適用されない地域、例えば富士樹海のような異質性を感じさせる。
しかし、寺島の描く、試行錯誤を限りなく繰り返し、新たな秩序やルールを構築しようとする様子はむしろ安らぎを覚えさせる。