川内倫子展「照度 あめつち 影を見る」@東京都写真美術館
普通の世界の至高の一瞬をとらえた写真群。展示室最初の作品が、あの高校の上り階段の光でもう気分が高揚する。
ちょうど担当学芸員によるギャラリートークだったので参加。それによると最初の通路は教会のイメージで、左右向かい合わせの作品を見ながら正面の光の作品に突き当るという趣向らしい。なんでも床も白に貼り替え、照明も白のLEDにしたそうだ。
中央の暗い部屋では以前、FOIL GALLERYで見たビデオを大画面で見ることができた。
叙情的な映画の中でこうした映像をそれらしい音楽とともに流すことはあるが、これだけ一挙に見ることはない。この世界は些細な美しいことで満たされているのだなあと思わせてくれた。
最後の大きい部屋では阿蘇の野焼きをモチーフにした「あめつち」の一連の作品。人の営みとその基盤である大地のつながりが実感できる映像群。
しかし、やっぱり私は日常のひとコマの至高の瞬間をローライフレックスでとらえた作品の方により惹かれた。
写美の後、近くのギャラリー、TRAUMARISにも行ってみた。こちらは川内が被災地で撮った写真がある。奇跡のような白と黒のハトの映像が感動的。