抽象と形態:何処までも顕れないもの@DIC川村記念美術館
川村記念美術館まで東京駅八重洲口から直通バスが出ていると聞き利用してみた。1時間ばかりで美術館の前まで着けてくれるのは想像以上に快適。遠いというイメージだったが、これからは気軽に出かけられそうだ。
ここはいつも最初の部屋が素晴らしくて、時間を使ってしまう。藤田、ルノアール、ピカソ、ブラック、シャガール、レンブラント。いつも空いてるのでじっくり見られる。
藤田嗣治の「アンナ・ド・ノアイユの肖像」を見る度に、当時のパリはこの背景の余白にさぞかしガツンとやられたのだろうなとうれしくなる。
前回訪問時は工事中だったマーク・ロスコの部屋は、このサイズの作品にはやや狭いような照明をおさえた空間だった。しかし、それだけに所有感がある。あの黒と赤が自分に浸透してくるように感じた。
階段を上がって見えてくるニューマンの部屋も心躍る空間。晴れた日の午前中や夕暮れもいいんだろうなと、時間と季節をかえて何度もひたりに行きたくなる。
企画展は国内中堅作家の作品群に近代の収蔵作品を散りばめたという心憎い企画展でセンスがある。
初見の作家が多かった。五木田智央のゆがんだ形態表現はモノクロの切れ味が気持ちいい。角田純の水面と余白の表現は思い切りがある。フランシス慎吾の「Bound For Eternity」(2011年)も無限の連鎖の中でごく一部の顕在するものを思わせる。向かい合わせで父のサム・フランシスの作品は配置されていた。野沢二郎もモネの睡蓮と対比されていて引き立っている。さまざまな読み取りができる満足度の高い企画展だった。
ところで、川村美から国立歴史民族博物館までは、1日1本なのだが連絡バスが出ている。せっかく佐倉市まで行くのならこの巨大な博物館も訪問してみるべきと、これを利用してみた。
前回、歴博を訪問したときは民俗ゾーンに大阪の法善寺横丁がリアルサイズで再現されていたのだが、今回はリニューアル工事中だった。なんでも新展示のために取り壊されたとのこと、残念。しかし、またものすごいものを作ってくれるのだろうと期待が高まる。
帰りも歴博発の東京駅行き高速バスで快適だった。忘備のために一日のスケジュールを記すとこのようなもの。
9:55(東京駅八重洲口)→10:57(DIC川村記念美術館前)
12:30(DIC川村記念美術館前)→13:10(国立歴史民族博物館前)
15:00(国立歴史民族博物館前)→(DIC川村記念美術館前経由)→16:26(東京駅八重洲口)
食事の時間が慌ただしいが、目的地の前まで着けてくれるのがとても快適だった。