日本の70年代 1968-1982@埼玉県立近代美術館
横尾忠則が構成した少年マガジンの表紙(1970年)や、高松次郎や粟津潔がサンデー毎日に掲載のマンガ(1970年)、「平凡パンチ for Girls(後のアンアン)」(1970年)、天井桟敷の「市街劇 ノック」(1975年)など、貴重な実物展示はあるものの総花的にただ展示しただけという印象。
キュレーターが「あの時代」をどう解釈するのかという意思がないようで、ただ懐古趣味を共有するだけの空間になってしまった。
美術館であればこの時代のアートを再照射するのかと思ったが、それらしいのは関根伸夫の「位相ー大地」のスライドショーと山中信夫の「川を写したフィルムを川に写す」(1971年)の資料くらい。
作品展示はほぼ吉田克朗の「650ワットと60ワット」(1970年)だけだった。出口に李禹煥がいくつかあったが、あれは企画展の一部としてなのか?
会場には1970年代のデザイン学生の下宿らしきものが再現されていたが、あの無精と不安と怠惰の入り混じった匂いがなくて、こんなに小綺麗なわけがないだろと笑えた。
横尾忠則が参加した万博のせんい館の資料は興味深かった。万博をマクロに評価することはよくあるが、こうして個別に、詳細に再評価するもっと展示があってもいいと思った。