日野之彦「そこにあるもの」@上野の森美術館
Posted 11:26 AM by admin & filed under 個展・グループ展(ギャラリー).
「向こう側」や「死んだらどこに行く」では生肉や皮を剥がれた生き物をがそうだったし、「花を持つ」などのポートレートでは見開かれた目が異様に強調されている。
いずれも、「ここにこんなものがあるのです、よく見てください」、「私はここにいるのです、忘れないでください」といった、存在の強烈な自己主張がある。
そして人物の見つめる眼差しは「こうして私を見ているあなたのことをじっと見ています」、「そして、私はあなたのことを忘れない」といった意志を思わせ、それはもはや呪詛の域に達している。
展示会場という場所では、作品を制作する作家という特定の存在と、それを鑑賞する不特定の存在が交錯するのだと思うが、彼の作品においてはこちら側の立場を揺さぶるものがある。
この作品をコレクションして自宅に置いておくには強靭な精神が必要だろう。