東北画は可能か?−方舟計画−@イムラアートギャラリー東京
日本画家の三瀬夏之介が東北芸術工科大学の学生とすすめている、東北の地を再発見しようというアート活動の展示会とトークイベント。
予定では今年の11月に仙台気仙沼のリアスアーク美術館で展示会をするはずだったのが、震災の影響で中止に。急遽、東京・神楽坂のイムラアートギャラリーで行うことになった。
その11月に向けて、リアスアーク美術館の「アーク」にちなんだ「方舟」をテーマに、学生たちが共同で大きな作品を描くことが決まっていた。だが、この震災を経てそのテーマの精神的根拠に大きな変化があったらしい。
学生たちや三瀬の言葉を聞くと、被災地に近い東北の学生の心の揺れは想像以上なことがうかがえる。ただ、お互いに語りあうこと、そして描くことによって開放されたものがあった、という言葉を聞けて本当に良かった。
その成果である巨大な方舟の共同制作作品は、東北の地への慈しみと解き放たれた開放感にあふれている。
震災以前は真っ白だったものが、その後の2週間ほどでこうした作品に結実したことを目のあたりにすると、こうした時代ならではのアートの力を実感する。
震災以来、若い作家たちがモヤモヤした気持ちを抱えていることが気になっていたので、こうした描くことを肯定した活動を見て気分が晴れた。そうした人たちにぜひ一見をお勧めしたい作品群だ。