柴田敏雄『concrete abstraction』@ BLD GALLERY
柴田敏雄「concrete abstraction」@BLD GALLERY
日本の山間部を自動車で走ると、どこにでもあるコンクリートで塗り固められた斜面。そうした自然と土木建築のせめぎあう姿を大判カメラで写し撮った作品群。
以前、写美の大規模個展でも見て以来なのだが、それ以後の新作らしきものは打ち捨てられたタイルアートの写真。
公共建築にパブリックアートが設置されることは多いが、自治体の予算が潤沢であるころの作られた作品はメンテナンスに手間がかかるものが多い。当初は業務発注などでこまめに手入れされていたものが、やがて予算の縮小によって打ち切られ、作品はほころび、古びていく。
よくある風景である。それもひとつの現代社会の真実である。さしたる感傷も持たずにひたすら鮮明に克明にそうした風景を写し撮る柴田の作品を見ていて、そんなことを思った。