美は甦る 検証・2枚の西周像 -高橋由一から松本竣介まで:神奈川県立近代美術館<葉山館>
美は甦る 検証・2枚の西周像 -高橋由一から松本竣介まで@神奈川県立近代美術館<葉山館>
私にとっての安心のブランド、神奈川県立近代美術館の期待を裏切らない企画展。今回は修復と研究の成果がテーマだった。
高橋由一が描いた西周(にしあまね)肖像画が島根県の神社から発見され、神奈川近美の学芸員がこれの修復を行った。
その修復技法がじっくりと解説されており、またなぜ2枚制作されたのかの調査報告もあった。他の修復事例の報告も。ワクワクしながら作品を見て、じっくりとパネルを読ませていただいた。
こうしたアートにおける技術の分野や調査・研究にじっくり取り組んでおり、その部分にしっかりとスポットライトをあててオモテに出すところがこの美術館のかけがえのないところだ。
展示は美術館の機能のほんの一部であり、収集、保管、評価、分析、調査、修復という膨大なバックステージワークがある。それをしない美術館はそうした地道な仕事のタダ乗りをしているのではないかといつも思っている。
ここの収蔵作品でいつも人気の松本竣介や関根正二、村山槐多を出してくれているのもうれしかった。
槐多の前でしばしたたずんでいると、お客さんが気さくに声かかけてくれてしばし彼らの話で盛り上がった。こうしたファンが多いのもこの美術館ゆえだろう。