街が生まれる―仙川@東京アートミュージアム
1990年にスタートした調布市仙川の市道整備に際して、分断される地所のオーナーが安藤忠雄に呼びかけて実現した都市計画事業の建築アーカイブ展。
細長い地所に安藤らしいコンクリとガラスの端正な建物が東京アートミュージアム。
展示は建築アーカイブらしく、写真、図面、建築模型があったが、それ自体は見るものはない。しかし、ここには建築を歩く楽しみがある。
暗くて狭い通路から透明ガラスの抑制された光ある吹き抜けの部屋へ、そしてキャットウォークのような階段で上層へ上がると、すりガラスの光が奥の壁にきれいな長方形になっている。
透明ガラスは床面まであって、すぐ外の歩道を自転車で通り過ぎる人や渋滞した道路の状態が伝わる。しかし、音が完璧に遮断されているので不思議な劇場感覚。
ミュージアムを見学後、その安藤ストリートをぶらぶらとしてみたが、高級感のある低層の商店・住宅コンプレックスは空室が目立つ。
それは仙川駅前の歩行者道路のにぎわいと好対照なくらい。あちらは人の通行があり、クーポンを配る人ありと雑然としているが、人が作る街であった。
計画して街をつくることと、街が生まれることの違いを体験したひとときだった。