青幻舎 SEIGENSHA Art Publishing, Inc. | ジパング展 ―31人の気鋭作家が切り拓く、現代日本のアートシーン。
ジパング展@日本橋高島屋
ミヅマもイムラも定期的に行っているので今回の出品作品はいずれもどこかで見たものばかり。なので新鮮味に欠ける印象がある。
特に入ってすぐの会田、鴻池、町田、山口、天明屋らを並べたゾーンは20世紀にタイムスリップしたようで目眩がした。場所も高島屋のイベント会場とレトロな舞台設定だったし。
タイトルが「ジパング展」なので日本をテーマとした企画展のように思って行くとそうでもなく、実際はそれぞれのギャラリーが押したい作家を出しているだけのように思える。
つくづく商業ギャラリーの展覧会と美術館の企画展とは違うものだなあと思った。むしろギャラリー単位のブースで分けて、価格表を貼っておけばアートフェアぽくてよかったのに。
しかし、三瀬夏之介の「だから僕はこの一瞬を永遠のものにしてみせる」に大きなスペースを取ったのはイムラの快挙。これは、おそらく昨年イムラの個展で一部が展示されたもの。
記憶と希望と具象と混沌が十数枚のパネルに描かれている大作。ちょうどアーティストトークで本人が語っていたのだが、終わりのない制作であり、むしろ終わりから逃げるという態度で取り組んでいるらしい。
ところで、三瀬らが先月イムラアートギャラリーで行った「東北画は可能か?」という活動が興味深い。
前衛の時代は運動とか活動とか、団体を作って活動することが一般的だったが、現代の作家はそうして先頭に立って率いていくことをしない。三瀬は東北の学生たちときわめて今日的な問題意識と今日的な方法でそれを進めているのかもしれない。これからも注目していきたい。
その他の作品では藤田桃子の大作、「午後3時の訪問者たち」に惹かれた。異形な者たちを絢爛に描いた日本画。捕食者と獲物の奇妙な共生のひとときなのか。