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ミリアム・カーン「私のユダヤ人、原子爆弾、そしてさまざまな作品」@ワコウ・ワークス・オブ・アート
ミリアム・カーンは70年代から活躍しているスイス在住の作家。今年のG-tokyoで数点を見て、さらに見たくなって六本木に出かけていった。多くのポートレートとハプニング風のドローイングがあったが、手前の部屋の数十個のポートレート群は組み作品らしく、個別のタイトルはない。それが「私のユダヤ人」という作品だった。
鮮明ではあるが、もはや悪夢のような色使いで、曖昧な輪郭で描かれる人物たちは老人、大人、子ども、男、女と多様で、怒り、哀しみ、放心などの表情をしている。その表現手法がそれぞれの人間の語り尽くせない人間の状態を表現しているようだった。しかし、これらが迫害されたユダヤ人での姿を表現しているのか明らかではない。
しかし、それはどうでもいいような気がする。今日に生きるある民族の個人であろうと一言では表現できないものだから。
ポートレートというものに何が表現できるのかを目の当たりにできる鑑賞体験だった。