吉岡徳仁-クリスタライズ@東京都現代美術館
展示空間づくりは素材も空間も贅沢に使ってそれなりに迫力があったが、アートとデザインの差異を強く意識した。アーティストとデザイナーで制作の動機がこうも違うものか。
結晶化技術によって生成される作品は興味深かったが、そのとげとげしい形態とはうらはらに何らの感情も伝わってこなかった。
吹き抜けの空間を使った教会らしき巨大インスタレーションは「教会」と銘打ってはいるもののどうして十字架がないのだろうか。信仰としてのシンボルに替わる何かを提示できると思っているのかとかすかに苛立ちを覚えた。
安藤忠雄の「光の教会」が建築としては素朴ながら胸をうつのは、そもそも地域に根づいた信仰の場であることからだ。
コストカット案として十字架部分にガラスを嵌めずに吹きさらしでいいじゃないか、それで定期的に信徒総出で掃除したらと提案したことを思い出した。