泥とジェリー@東京国立近代美術館ギャラリー4
常設は前回訪問時から変更なしなので駆け足で通りすぎて小企画の「泥とジェリー」へ。
近美の小企画はテーマを決めて収蔵品から展示するというもの。学芸員という鑑賞のプロはこうして見るのかといつも勉強になる。
今回は泥とドロドロというマチエールとテーマを重ねたものだった。
ドロの方は岸田劉生の有名な土のむき出しの坂道から、泥から生まれた人間を描く天地創造。白髪一雄の足で大量の絵の具をドロドロと描くパフォーマンスの映像など。
一方でジェリーらしかったのが岡崎乾二郎の長いタイトルの作品。これは油絵というのはこんなにいつまでも色もマチエールがみずみずしいのかと驚いた。
あと、岡崎の絞り出した粘土をそのままねじって置いただけのようなドロンとした立体作品。これも地肌は荒いのにやはりみずみずしい。形態の潔さがそうと感じるさせるのか。
展示ではこの立体作品が多数出ていて、強烈な印象だった。いままで見たことなかったが、忘れられないものになった。
最後は先日まで常設フロアーにあったナンシー・ホルトとロバート・スミッソンの「湿地」というビデオ作品。これは毎回じっくりと見てしまう。
フィルムカメラを持って男性と女性がアシの茂った沼地を歩きまわるという映像で、人物は声だけで画面には出てこない。
カメラを持つ女性に男性があっちにいけとかこっちだとか言って、刺が刺さったとかぬかるみに足がはまったとか声がする。
これがアートだと思っている男性と「やれやれ」と思っている女性の様子が微笑ましい。映像アートの制作現場ってこんなだろうなと思う。
美術館をひと通り見て、まだ早かったので千鳥ヶ淵の桜を見て帰った。すごい人出だった。