引込線2013@旧所沢市立第2学校給食センター
前回は小学校の体育館も使っていたが、今回は給食センター会場のみとやや縮小。しかし、作家主導の美術展らしい侠気は変わらず。駅から遠いし、エアコンもない場所なんだが、この引き締まった空気を感じるために毎回通っている。
給食センターという不思議な空間が面白い。床面にはへんなくぼみがあり、壁の厚い冷蔵室があり、巨大な調理器具が保管されている。数年前までは近隣の小学校のために膨大な給食を毎日作成していたのかと思うと、その生産システムと衛生管理が垣間見える。
オルタナティブスペースといえば、倉庫や古民家などそれなりにアート受容性のある空間であることが多いが、こうした実用性が明らかな空間でこそ本当の作家性が際立つのではないか。
前回もあった前野智彦がトロトロした妙な機関を屋外に構成してパワーアップしていた。奇妙な機器を見るのではなく、その中に入っていくというすばらしいインスタレーション体験。
倉重光則のチカチカする映像作品は導入部も含めて何かヤバいものをみているような気がした。
伊藤誠の土星は油粘土か。コロンとした存在感があった。本当なら乾燥してひび割れたり垂れ下がってきたりするものなのによく保持していると感心した。
ヨコトリでも見た戸谷成雄の木製オブジェがあった。2階の窓から見下ろすと上端部に吸い込まれるような穴があったんだね。横浜では気が付かなかった。
倉庫には遠藤利克の燃焼させたプール。漏れているらしくオイルが床に流れ出ているのがまた雰囲気があってよかった。こうなるとこの作品は設置する場所を選ぶんだろうな。
IMG_0745全体的に女性作家が小ぶりにまとまっていた印象。この空間をつかってもっと無茶すればいいのにと思った。
過去展のカタログをパラパラと見た。やっぱり西武鉄道の鉄道工場が大きさも内容も圧倒的だった。ずっと忘れられない。また、盛り返すといいなと思う。
帰りはバス通りではなくトトロの小道を通って帰った。凶暴な暑さと見事な夏雲だった。