雨引きの里と彫刻 2013
前回の訪問が震災の当日で、結城市に一泊することになったという思い出深い展示会。
宇都宮線の小山駅で水戸線というローカル線で岩瀬駅。そこからタクシーで桜川市のインフォメーションセンターまで2,000円ほど。
使用感あふれる自転車を貸してもらって全工程13キロ、約3時間。曇りで肌寒い日だったがサイクリングにはちょうどよかった。
季節が春から秋に変わったが清々しさはそのまま。それは作家主導の展示会ということもあるが、収穫期の農村の様子がどこまでも広がっていることもあった。
IMG_0807田んぼは刈り入れがすすんでいたがそばの花がどこにいっても広く、筑波山を遠景にすばらしいコントラスト。
ちょうど作品見回りの作家さんと同道となり、いろいろと話を聞かせてくれた。作家主導だけあって、持ち回りで作品保持からトイレ掃除までやっているらしい。
宮澤泉の「夏空」はお天気のいい日にみたら青空を背景にぽっかりと浮かんでいそう。
ひろびろとした空の下もいいが、ここらはどこへ行っても気持ちのよい林がある。
中井川由季「あいまいな接合 木立の下に」は、そんな木立の隙間に種子じみたオブジェが接合されて円環を形作る。
同じく小日向千秋の「二重奏」も、黒光りする表面が林の木々を映しこみ拡散と収縮の鑑賞体験。
廃棄された古民家の裏手に配置された西成田洋子「記憶の領域2013 里に棲む」は、農村の人々の営みとそこに潜むものを実体化するかのよう。
大きな池の水面に配置されたサクサベウシオ「吊るされた石と鉄 2013」が私的にはこのツアーのハイライト。よどんだ空と波のたたない水にケーブルと鉄の造形が反射して、これは昔からここにあったのか、いつまでもここにあるのではないかと信じさせるランドスケープだった。
コースの最後、美しい竹林に村井信吾「黒体ー138」が異化も同化もせずに存在していた。その向こうにそばの白い花が広がっていた。
何か尊いものを見たような気持ちになった。
気持ちのいい時間を過ごした。また来る。
インフォメーションセンターの周辺には食事するところがなく、タクシーを呼んで岩瀬駅近くの中華屋で遅い昼食。
次回は何人か募ってタクシー代を浮かすかレンタカーで行くのがいいかもしれない。