昭和史 1926-1945 半藤一利(平凡社ライブラリー)
夏の暑い頃になるとこうした本が読みたくなる。
半藤が昭和史の重要ポイントを講義形式で語ったものを聞き書きしたもの。語り言葉なので読みやすい。若い人たちにぜひ読んでもらいたい一冊だ。
半藤はまとめの章であの戦争についての教訓をこうまとめる。
その1 国民は熱狂しないこと。あの戦争は国民の熱狂が後押ししたことは間違いない。
その2 抽象的な観念で判断しないこと。日本人は自分の希望するようにものごとをみる傾向が強い。
その3 タコツボ化した小集団に権力を持たせないこと。陸軍エリートが国を間違った方向に導いたのだ。
その4 国際的常識をきちんと持つこと。ポツダム宣言の受諾と終戦は違う。その無理解が大陸の悲惨とシベリア抑留を作った。
その5 対処療法で対応しない。複眼的視点と長期的視点から判断しなければならない。
こうして抜書きしていると日本が多くの原発を建設していった経緯と事故の対応にそっくりあてはまるのことに呆れる。
半藤はこの本をこうしたしめくくった。
「それにしても何とアホな戦争をしたものか。この長い授業の最後には、この一語のみがあるというほかないのです。ほかの結論はありません。」
何冊も昭和史関連の本を読んでいるのだが、これと同じ感想を繰り返し持つ。そして同じ感想を確認するために、繰り返し同様の本を読むことにする。
それが戦争を知らずに今日を生きている自分の義務なのかもしれない。