No Museum, No Life?―これからの美術館事典 国立美術館コレクションによる展覧会 | 東京国立近代美術館
No Museum, No Life?―これからの美術館事典 国立美術館コレクションによる展覧会@東京国立近代美術館
5つの国立美術館の各館よりコレクションを持ち寄っての合同企画。展示会としてはプランニングが立ちすぎて作品がかすんだという失敗だと思う。
展示会の構成は美術館に関わることがら、例えば「A―Archtecture」「C―Curation」「X―X-ray」などでコーナーを作り、それぞれに作品を配置するというもの。とにかく各コーナーのキャプションが多い。たくさん読むのは好きなのでいいのだけど、書いてあるのはあくまでも「美術館」に関することで、作品については記述していない。
「N―Nude」のコーナーなどは折角の名作が壁面にぎっしりと配置されて、「ああ、裸婦像がたくさん」としか見られない。これって個々の作品を軽視してないか。
会場にいて、そんなに美術館そのものが好きな人がいると思っているのだろうかと疑問になった。美術館に行くのは作品を見に行くのであって、美術館そのものについて勉強にいくわけではない。しかも、それをインサイダー自らが語るのであって、そうなると自画自賛の匂いが漂ってくる。
国立美術館の合同企画といえば2010年の「陰影礼讃」を思い出すが、それはタイトルをテーマとして作品を各館から収集するというもので、美術館賞の満足をじゅうぶん味わえたものだった。今回のは消化不良を通り越して、最後には苛立ちが湧いてきた。