「日本近代随筆選―1 出会いの時」(岩波文庫)
ごく最近編まれた鴎外、白秋など近代大家たちの随筆集。
特に気に入ったのは「奥常念岳の絶峰に立つ記(小島烏水)」明治期の山岳紀行の走りではあるがいつの時代も爽快感がある。
柳田国男の「浜の月夜/清光館哀史」はたまたま訪れた旅の宿で出会った夜踊りの記憶とその宿のその後の悲しい顛末がいい味。
広津和郎の「夢殿の救世観音」は不世出の法隆寺の救世観音を拝観したときのエピソード。広津らに混じって一般の拝観者も拝観を希望したところ、これも縁と感じたのか若い坊さんが快く許したという。
中勘助の「結婚」も随筆とはいえ、ふたつの人生の大事を渾身に描いた名作。