「アンダークラス ―新たな下層階級の出現」橋本健二

本書は非正規労働者であり、かつ貧困状態にある「アンダークラス」についての評論である。

アンダークラスは現在、国内に930万人もおり、それは就業人口の15%にのぼるという。本書ではこのアンダークラスに限らずその予備軍としての失業者・無業者にも言及しているが、その状態はさらに悲惨なものである。

橋本は定量的データをもとに統計的分析に専念しており筆致は冷静だが、こうして社会に不満を持ち将来に希望を持てない層が国内に一定の勢力を持つことに警告を発している。その懸念の方向性が最終章「アンダークラスと日本の未来」にある。

橋本はこの章で、具体的に政党がこの層の要求を汲み取るにはどうすべきかを概論レベルではあるが言及している。いわくアンダークラス層は所得配分に高い関心を持つが、従来のリベラルのテーマである平和、脱原発、環境、憲法護持には興味がない。よって、この層にアピールするには所得再配分のみにテーマを絞ったあらたな政党(野党)があればいいと提案する。

ちょうど参院選でれいわ新選組という政党が新たに出現したが、これは「その他」のテーマを掲げながらも主なテーマは「企業増税と富裕層への課税強化」であるだけにアンダークラスへのアピールは高い。今後の政治環境を考えるで必読の書であろう。