『草薙の剣』橋本治
それぞれ関わりのない6家族の祖父、父、子どもを、戦前から現代にかけて同時平行に描いた近現代史的小説。という説明から想像できるようにとても退屈。四分の一くらい読んだところでそれが分かり、後はただひたすら終わらせるためだけに読んだ。あげく勝手に若者に希望をほのめかして終わり。投げ出したくなった。
これらは橋本が思うサンプル家族であって、世の中はもっと多様である。それが分かっているから小説読みは、ある一人の人生についてじっくりと読みたくなるものだし、小説書きは書きたくなるもの。あるキャラクターの心象をさらっとなぞって次のキャラクターに移動するということでは、「人の人生ってこんなに表面的?」と辟易とするのみである。