映画『20センチュリー・ウーマン』

監督のマイク・ミルズはミランダ・ジュライの配偶者。だからという訳ではないのだが、何となく「君とボクの虹色の世界」を思い出した。どちらも女性目線の映画である。

劇中の息子が母親を評して言う「不況時代の世代」の女性をアネット・ベニングが演じるが、彼女以外にも10代や20代の女性が登場する。あとは10代の少年と40代の男性が。いずれも1979年という年を生きた人間たちである。

1979年、西海岸の小さな町(サンタバーバラ)の出来事、パンクミュージック、ベトナム戦争の影響、フリーセックスの時代、母親の服薬による子どもへの薬害、カーター演説、フェミニズムなどが織り込まれていく。

そうした時代を描くこととは別にそれぞれの登場人物の来し方が挿入されて、それが良き映画時間となっている。エピローグでその後の人生も。

良い長編小説を読んだときのような心地よい満足感を与えてくれる映画である。