『認知症世界の歩き方』筧裕介
認知症の人はこんな事をするとか、こんな事を言うとかの本は沢山ある。しかし、この本は認知症の人には世界がこう見える、と教えてくれる。
「こんなことがありました」「気持ち悪いのでこのようにして過ごしております」など当事者への取材に基づいたモノローグを多用し、認知症の方がこの世界を旅する様子を伝えてくれる。
お風呂に入りたがらない。同じ服を着るようになった。それは当人にとってみればもっともな理由があることだし、理由が分かればさてどうしようかと家族も考えることができる。
なのでこの本は認知症の方が身近にいる人、家族に認知症の方がいる人こそ読むべきものだと思った。
著者はライフデザインの専門家。伝えるのが難しいことを親しみやすいイラストや凝ったデザインでうまく伝えている。読者は最初から読む必要はなく、パラパラとめくって気になったところだけを拾い読みすればいい。
私も家族に認知症気味の高齢者がいる。これがあまりにも良い本なので関係者である私のきょうだいにも一冊ずつ送ることにした。「そろそろみんなも考えてくださいよ」というアピールになったと思う。