映画『国葬』・『粛清裁判』監督:セルゲイ・ロズニツァ
『国葬』は1952年のスターリンの国葬を、『粛清裁判』は1930年の産業党裁判のアーカイブ映像を編集したもの。
人民の父の喪失によって呆然とする人民、国家の敵による自己批判など、ソ連に関する記述ではおなじみのことが映像で見ることができたのが収穫。
そのように映像自体が興味深いので楽しめたが、映画としては発掘してきた映像素材を編集して作品に仕上げたものなのでドキュメンタリー映画とは言えないと思う。
映像に別の音源の音声や厳粛な音楽を重ねたり、群衆の映像を早回しなど意図が前面に出すぎている。ドキュメンタリストとしては歴史と事実を目の当たりにして粛然とした態度が必要ではないか。
それにしても『粛清裁判』では年代のテロップがなくいきなり裁判が始まってしまう。当地の一般人は「産業党裁判」と聞けば1930年とすぐに分かるものなのだろうか。